アニメ

更新情報

アニメを探す

アニメ >> 26秋アニメ >> どこよりも遠い場所にいる君へ
全1件
26/10/11 劇場アニメ

珍しくアニメ映画を視聴しに映画館へ。CMが面白そうだった……からではなく、CMで出てくる要素が明らかに僕担当アニメのものだったから。「島」「伝承」「逃げてきた」とか言う3単語がもうどうしようもないほどに担当アニメですって主張していたからね。そして結論から言えば、本当にそのとおり、島アニメであり、伝奇アニメであり、そして逃避行アニメだった。

まず島アニメについて。上映開始直後にカメラが引いて島の遠景になったところで、あまりにも特徴的すぎる3つの島の形で隠岐なんやとなる。作中で島の名前は「采岐島(ときしま)」と呼ばれていて、まあモチーフは明確だった。隠岐島前(どうぜん)だとして、問題はどの島(中ノ島、西ノ島、知夫里島)かということだ。とはいえ、高校生が主人公で島留学していると言われた時点でまあ海士町(中ノ島)の島前高校やねとなるから、そうなるとあのあたりとしては都会の話だなということになる。海士町か~~海士町な~~~まあ、海士町だよな。実は今年の夏の島旅行の行き先候補としてまさに島前が有力候補のひとつだったので、まあまあ色々調べていたので、謎のタイムリーさを感じたりもした。結局豊後水道の方に行ったのだけれども。

伝奇アニメについて。CMでも言っていたとおり、作中のメインギミックは「神隠し」と「マレビト」という対になった伝承だった。人が消える話と人が湧いてくる話。どちらも伝承モノとしてはメジャーは類型で、特段目新しさのあるネタでもないのだけれども、島という舞台はこの伝承が根付くのにちょっと信ぴょう性があるところが僕としては芸術点を出せるなと思っている。島は、当然のことながら周囲を海に囲まれている。なので、海に落ちて人間が急に消えることに納得感もあるし、嵐の日に人間が流れ着いて湧いてくることにも納得感がある。だから、山の中の田舎と島の田舎でどっちに神隠しとマレビトの伝承がある方が「ぽい」かと言われたら、断然島だろと僕は思うわけだ。

逃避行アニメについて。前々から言っているように、僕が島という舞台設定(そして現実の地理特性)が好きなのは、逃げ場がない場所だからだ。それでいて、島というのは逃避する先でもある。CMでも登場するように、「島に逃げてきた」主人公という形はちょくちょく見かけるキャラクター造形だ。本作の主人公もそれは同じなんだけど、そこに現実でも行われている「島留学」といううまいカバーが被せられているのがよくできているなと思った。まあ、島留学がそういった(家庭・学校での)人間関係をリセットするために使われることがあるというのはそういった界隈にいるとよく聞く話でもある。それこそ、昨年の大島アニメであるSummer Pocketsでも主人公は学校生活の崩壊から逃げて島にやってきたわけだし、これまた見慣れた設定……なんだけれども、本作のこの逃避行要素が異色めいていたのは、これまた隠岐というチョイスとなぜかベストマッチしてしまったその逃避の理由の話だ。ここからはマジのガチのネタバレの話をしまくるので少しでも映画を視聴するつもりのある人は絶対に読まないでほしい。

もう大丈夫かな? じゃあいうけど……流刑地やないかい!!!!!!!!!すべてにおいて。やっぱり隠岐って古より流刑される先だから。天皇も坊さんも貴族も武士もみんな流刑された隠岐という島に、犯罪者の息子としてネットのおもちゃにされてしまった少年が逃げてくるのはガチの流刑地すぎる。当然ながらこのために選ばれている舞台なんだけど、よくこれでフィルムコミッション受けてくれたな、海士町……そういう認識で舞台にされることに慣れているのか。本当に当たり前だけど、島に漂着する人間よりは島に流刑にされてやってくる人間の方が多いと思う。だからマレビトってのはつまり、罪人のことなんだよな。島を巡っていて、島の文化を伝来させた外来人の話が登場することは本当に多い。どこの島に行っても、民族博物館とか詩碑とかで来歴を読むと大体が島の外から伝来した文化が独自の形で定着していったという話が書いてある。瀬戸内海ならともかく、外洋の島ってほぼ漏れなく流刑地だ(一定の事実に基づいた質の悪い偏見)。いや、瀬戸内海の島ですらそうだし……。というわけで主人公はもちろん、その友人ポジで一緒に島留学にやってきた奴も、過去からやってきたヒロインも、みんなして罪の意識を背負う者だったのは逃避行アニメに真剣すぎると思った。あんまり彼自身の背景は描かれなかったけれども、めっちゃツンケンしていた同じく島留学でやってきている男も、普通に島留学って人生にとっていい経験になるかもなとか考えずになんかの罪の意識を背負っていれば幸せになれたのかな。そんな負い目があってどこか陰のある人間にしか興味が湧かない島育ちの自称普通じゃない女が原動力になってパワフルに話を転がしていくあたりはマジでグルーヴ感あってヤバかった。めっちゃシリアスなシーンなのにずっとにやにや笑っていたと思う。流刑者である主人公と流刑者であるヒロインの最後のやり取りは、まさに僕が島アニメに感じている魅力を一切加工せずにそのまま出してきたみたいなやり取りで、若干気恥ずかしさすらあったのだけれども、やっぱり僕が好きな考え方なんだよな~とも思った。別にそんな革新的な発想ではなく、むしろありふれているのだけれども、逃げることを選んで、逃げた先のもうこれ以上逃げられない場所から、自分が元いた場所に向かって睨み返すような精神性なんだよな。(島に)逃げて、逃げた先からもまた逃げて(島から一度外に出て)、それでも選んでまた島にやってくるという流れの美しさよ。現状というよりは過去から連続した現状を認め、現状から未来向きに進んでいく精神性こそが、僕の好きな逃避行アニメなんだよな。

既に好き放題書いているように見えるかもしれないけれども、実はなんと更にインターネットにはちょっと書きにくい仕事の知識から来る感想がまだあって、それをどこかで吐き出したいので、できればオタク各位はこの映画を観に行って、そして感想戦に僕を呼んでほしい。お願いします。面白いかどうかは……ちょっと保証はしかねます。

← アニメ一覧へ戻る