はじめに
どうも、あうふすとぅすです。久々に、オタクじゆうけんきゅうをやりたいと思います。
今回のお題は原作からアニメへの翻案に伴う再構築についてです。ここ数年、めっきりアニメ以外のメディアで物語に触れる時間が減っており、あらゆる作品について「アニメになって知った」という状況になりつつある僕ですが、時にはアニメからポロロッカする(老人の言葉)形で原作になっている小説、漫画、ゲームなどに手を伸ばすこともあります。そうした時には、多かれ少なかれ、原作からアニメというメディアに翻案される中で作品が再構築されているな~と感じるところがあるものです。
今回は、特にその印象が強かった作品であるTVアニメ『異世界のんびり農家』(第1期:23冬クール、第2期:26春クール)について、その最初の原作小説(ウェブサイト「小説家になろう」掲載版、16年12月から現在も連載中)からの再構築のなされ方について分析しながら、原作付のアニメが物語として再構築されることの意味について考えてみたいと思います。
1.『異世界のんびり農家』について
まずは、今回のじゆうけんきゅうで取り上げる作品『異世界のんびり農家』について簡単に紹介したいと思います。ウェブ小説投稿サイト「小説家になろう」に2016年12月末から連載が開始され、2017年10月には書籍化、同年11月から漫画へのメディアミックス展開が開始し、テレビアニメは2026年現在で第2期まで放送されています。今回の記事では、
- 小説家になろう連載のウェブ小説→なろう版(今後出てくる話数表記については、本来なろう版には話数表記はありませんが、更新ごとに1話とし、メモのような情報整理回を除く形で僕が便宜的に通し番号を入れたものです。)
- TVアニメシリーズ→アニメ版(今後出てくる話数表記については、公式サイトでは第1期と第2期でカウントアップがリセットされていますが、僕が便宜的に通し番号を入れたものです。なろう版の話数と見分けるため、下線を入れます。)
と記載しながら分析していきます。他のメディアミックス先である書籍版、コミック版、ゲーム版での状況は確認しきれていないため、今後の課題ですね。
アニメ第1期(公式サイトはこちら)は23年の冬クール放送で、同期には天使様、パイ教、最強陰陽師、冰剣などがいます。あまりにも醜すぎることで歴史に名前を刻んだ、キンヨル25時台の三重トロッコ問題に巻き込まれていた作品でもあります。当時の僕は『アルスの巨獣』(TBS)から『異世界のんびり農家』(テレ東)に移る形でリアタイ実況をしており、『真・進化の実』(テレ東)から『ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん』(TBS)の形でリアタイ実況をするフォロワーさんとハイタッチしていました。

(図1.23冬キンヨル25時台の三重トロッコ問題)
アニメ第2期(公式サイトはこちら)は26年の春クール放送で、まだ記憶に新しいかと思います。続編の制作決定の報が出たのは2025年8月25日だったので、少なくとも第1期放送時から続編が決まっていた、いわゆる分割2クール方式ではないと考えてよいでしょう。同期には天使様2、ゴーコン、クジマ、よわ先などがいます。放送枠が月曜26時とかいうあまりにも悲惨すぎる枠に転生させられています。大体死の枠だろ。
アニメ版の公式あらすじは以下のとおりです。
孤独な闘病生活の末、命を落とした街尾火楽(ヒラク)。
神様から第二の人生を与えられ、念願の農業生活を始めようと意気込むが……身体一つで送り出されたのは、魔物だらけの深い森のど真ん中。頼りになるのは、前世で得た知識と、神様から授かった「万能農具」の力のみ。
それでも試行錯誤しながら自分の土地を切り拓いていく火楽のもとには、吸血鬼やエルフに天使、果てはドラゴンまでが集い、やがて彼の住処は村へと発展していく。のんびりほどほど賑やかに、楽しくドタバタ和やかに、笑顔の絶えない異世界農業ライフ、「大樹の村」へ、ようこそ!
(第1期公式サイトより)
かつて病弱な体で孤独に生きた青年・火楽(ヒラク)は神の恩寵によって異世界に転生した。
森の奥深くに作った小さな農場は、吸血鬼、エルフ、獣人、天使族…多種多様な仲間たちが集まったことで、今や「大樹の村」と呼ばれる賑やかな集落へと成長した。畑を耕し、家畜を育て、仲間と笑いあう平穏な日々。
しかし、訪問者は後を絶たず、村はますます大忙し!新たな作物、新たな仲間、そして新たな騒動が火楽のスローライフを彩っていく。
のんびりほどほど賑やかに、楽しくドタバタ和やかに、“自分だけの理想の田舎暮らし”は、まだまだ拡大中!笑顔と美味しいご飯が溢れる、異世界農業ライフ第2幕が、ここに開幕ーーー!
(第2期公式サイトより)
こうしてあらすじをそれぞれ並べてみるだけでもちょっと面白いですね。総論である本項において注目するのは、双方に共通する記載です。端的に言えば「のんびりほどほど賑やかに、楽しくドタバタ和やかに」というのと、「異世界農業ライフ」ですね。双方において使われている、即ちアニメ版の土台となるコンセプトであると理解して差し支えないでしょう。
さて、ではなろう版のあらすじはと言えば……当然ながらありません。ウェブ連載(作品ページはこちら)にあらすじなんてあるわけがないですからね。というわけで、とりあえずアニメ化されている範囲分のなろう版(16.12.29-17.6.19更新分まで)を読んだ僕の印象ベースで作成したあらすじを紹介しましょう。こちらです。
かつて病弱な体で孤独に生きた青年・火楽(ヒラク)は神様から第二の人生を与えられ、念願の農業生活を始めようと意気込むが……身体一つで送り出されたのは、魔物だらけの深い森のど真ん中。
頼りになるのは、神様から授かった「万能農具」の力と健康すぎる肉体から溢れる性欲のみ。
森の奥深くに作った小さな農場は、吸血鬼、エルフ、ドラゴン、天使族…多種多様な女たちが集まったことで、今や「大樹の村」と呼ばれる賑やかな集落へと成長した。畑を耕し、女体を貪り、子供が産まれまくる平穏な日々。
しかし、訪問者は後を絶たず、村はますます大忙し!新たな作物、新たな女、そして新たな騒動が火楽のスローライフを彩っていく。
のんびりズコバコ賑やかに、楽しくドタバタ和やかに、笑顔のたえない異世界農業ライフ、「大樹の村」へ、ようこそ!
(あうふすの印象で作成)
これってほんまに作品のファンが作ったあらすじなんかなあ。そうなんです、信じてください。一目瞭然と思いつつも一応アニメ版のあらすじから改変した部分を太字にしていますが、端的に言えば①ヒラクの性欲が異常で子供が産まれまくる、②獣人よりドラゴンの方が優遇されている、の2点が第一印象としてのなろう版・アニメ版の違いです。
僕がなろう版を初めて読んだのはアニメ版第1期が放送された後、23年から24年にかけての年末年始でした。このタイミングで、ちょうど第2期範囲で収まる分まで読み進めていた時に強かった印象がこれらの点で、正直なろう版はちょっと①の味が濃すぎたのと、情報の羅列感が強かったことから、読み進める手が止まってしまいました。第2期が無事放送された今、もう1クール分くらいの先までまた読み進めようかと考えているところではありますが。
アニメ版2クール分のあらすじ、そして自作のなろう版あらすじを並べたことで、今回の記事で考えていきたい大きな方向性については御理解いただけたのではないかと思います。次項では、まずはこのキャラクターの性欲と妊娠出産について考えていきます。
2.なろう版とアニメ版の違い(1) キャラクターの性欲と妊娠出産について
ひでえ項目名だなあ……と自分でも思うのですが、やはり本作についてなろう版とアニメ版を比較していくときに真っ先に気になるのはこの論点です。
2-1.ルーとの出会いにおけるヒラクの性欲
この点について、ヒラクがルーと初めて会った回(なろう版第22話から第25話、アニメ版第2話)で既に明確な違いとして現れています。この時点でヒラクはインフェルノウルフ(クロたち)とデーモンスパイダー(ザブトンたち)と暮らし始めて1年が経過(2度目の冬の前)しており、ザブトンからの警報を受けて周囲を哨戒しているクロたちのもとに駆け付けたところ、全裸の美少女を発見します。なろう版第22話-第24話から幾つかの文章を引用してみましょう。
①
水路は完成しなかった。(中略)来年の目標にしよう。優先順位は最優先。
次に水路作り。でもって……奥さんが欲しい。夜、一人で寝るのが寂しい。クロたちが家族で和気藹々としているのを見ると、尚更だ。そんな俺を、ザブトンが慰めてくれる。ありがとう。(第22話から抜粋)②
ともかくだ。俺の目の前には、美しい女性が居る。しかも、全裸で。
俺はクロたちに解散を伝え、彼女を俺の家に招待する事にした。
「え、え、え? なに、ちょっと……え?」
俺の行為は蛮族だろうか。
同居人が増えた。(第23話から抜粋 このあと「※襲っていません」との注記あり)③
吸血鬼の彼女の名前は、ルールーシー=ルー。色々と変化があったが、最終的にルーと呼ぶことになった。ちなみに、彼女の俺の呼び方は「淫獣」「ケダモノ」「貴様」「村長」と変化し、現在は「旦那様」になっている。(第24話から抜粋)④
冬到来。春まで色々と励んだ。
(第24話から抜粋)
では、こちらについてアニメ版で同じ内容を描写しているセリフを引用してみましょう。
①
日々の暮らしに問題はないが、塩が欲しいな。どうしてだろう、なんとなく物寂しい。
ヒラク「うーさぶ。」
いつだっけ、最後に他人と会話をしたのは。このままだとしゃべり方を忘れそうだ。
(第2話から抜粋)⑤
ヒラク「なぜまた縮んでいる。」
ルー「自衛のためよ。こうしていれば手を出そうと思わないでしょう。」
ヒラク「ああ……自重します。」
(第2話から抜粋)
こうして並べてみると、アニメ版が奥ゆかしい婉曲的な表現をしているのに対して、なろう版は極めて直接的な表現をしているということがわかります。当然ながら、メディアの違いに由来する部分もあろうと思います。文字のみの小説と映像・音声付のアニメとでは、同じ単語を使った時に受け手が持つ印象の委任度合いが全く違うからです。ただ、アニメ版で遠回しに表現している感情に若干の性欲を混ぜたものを一言でいうなら「人肌恋しい」としてもよいところを、「奥さんが欲しい」と言っているのがわかりやすさ重視の結果やや品がなくなっているように感じる原因かもしれません。
また、これはおそらく小説の中でもウェブ連載小説というより細かいメディアの特性によるものなのだと思うのですが、この一連のエピソードの中で、毎話毎話丁寧に性欲を描写することで、結果的にヒラクが性欲まみれみたいにも感じられてしまうのではないでしょうか。これはしょうがない部分もあって、小説家になろうという大きなサイトの中で熾烈な争いを勝ち残るためには、毎話(更新するたび)に何らかの掴みが必要になるというのは想像に難くありません。そうした時、性欲をネタにするというのはわかりやすい選択肢だと思います。
しかし、今回僕がこの描写の違いを取り上げたのは決してなろう版が下品だと批判をしたいからではありません。上述のとおり、なろう版はメディアの特性上どうしてもキャッチーなネタを目立たせる必要がある側面を持っています。しかしこれをアニメに翻案するにあたっては、必ずしも原作どおりに描写する必要はありません。エロを主軸に据えてコメディをやっていくという判断があれば①~④を全て残してもいいのかもしれませんが、アニメ版では①の表現をマイルドにし、②~④の描写を大胆にカットし、オチとして⑤で性欲を最後にふりかける構成に変更しているのです。
2-2.その後のヒラクの性欲
最初なので丁寧になろう版・アニメ版からそれぞれ引用して紹介しましたが、この後もなろう版では新しい女が登場するたびに、夜の営みの有無が明記されます。いや、もうちょっと奥ゆかしさを持ちなさいよ……! 新キャラクターで話を回していない時にもちょくちょく夜に向けて女性陣が張り切っているという描写が入りますし、なんならヒラクへの夜伽について女性陣で話し合って輪番制が敷かれていることなども説明されています。だから奥ゆか(ry
とはいえ、流石にこのままではあまりにも脳みそがちんちんに付いているキャラクターになってしまうためか、早々に、というか2人目のお手付きであるティアとの夜の営みがあることを報告する際に、以下のような描写があり、同じような発言をヒラクはこの後も繰り返しするようになっていきます。さらに言えば、輪番制夜伽に対しては嫌がるそぶりも見せるようになります。
俺はクロたちを解散させ、ティアとルーと共に寝床の小屋に向かった。向かって小屋に入ったら、なぜかルーの誘導で三人で励むことになった。
「だ、騙しましたね! この悪辣吸血鬼!」
「私一人じゃ身体が持たないの。お願い、付き合って」
「それで付き合う馬鹿はいません! 離しなさい!」
「俺はルーだけでいいんだけど」
「私の身体が持たないって言ってるでしょ! ほら、今よ!」
なんだかんだで同居人が一人増えた。
(第26話から抜粋)
このノリで「※襲っていません」は無理があるよな……と思わず素朴な感想が出てしまいますが、さておき、ここで重要なのは太字にしたセリフです。そんなオタクの「〇〇一本で行く」みたいなこと言いながらSUEZENで全員にお手付きしてりゃ世話ないよ、村長~。
ルー「じゃあ決まりね。一緒に住んでくれるわよね。」
ティア「え? あの……」
ルー「ね、お願いよ。私一人じゃ身体が持たないのよ。」
ティア「はい? どういうことですか~」
(第3話から抜粋)
アニメ版だとティアの仲間入りについてはこのようなやり取りで描写されています。実は、アニメ版においてヒラクとの肉体関係が実際に存在することをほのめかす表現はルー以外だとかなりレアです。というか僕が思い出せる範囲だとティアに関連したここしかないかもしれないですね。セリフをひとつひとつ再確認したわけではないですが……。
例えば、アニメ版第4話でお風呂を作るシーン、ここは流石にアニメ版においてもサービスシーンとして描かれていて、ヒラクがお風呂の入り方を実演してみせると女性陣もみんなして服を脱いで混浴し始めるのですが、なろう版だとヒラクによるコメントとして「今更自分に裸を見られて恥ずかしがるような女性はいない」と最悪のコメントをしています。また、第6話でハクレンが仲間入りしたあと、アニメ版ではノータイムでヒラクの家に住んでいるところから描写がスタートしますが、なろう版では「最初はラスティの家に住んでいたが色々あって俺の家に住むようになった。まあそういうことだ。」とうるさいわ!と言いたくなるようなコメントが添えられています。ルーだけで良かったんじゃないのかよ。
このように、なろう版においては、女性陣の性欲を言い訳にするという最悪なやり口になってしまいつつ、ヒラクの性欲はトップギアのまま突っ走り続けます。僕が読んでいる範囲では明確な説明まではされていませんが、これには神様にもらった健康で丈夫な身体が無尽蔵の性欲を供給しているという設定があることは間違いないと言えるでしょう。
2-3.ヒロインたちの性欲
一方アニメ版においては、こうしたヒラクの性欲は(描写されていないだけで存在している可能性はもちろん大いにありますが)、ほとんど出てきません。まず、ルーとの出会いのシーンにおいても性欲の前に人と交流したい気持ちが強いという風に言葉が選び直されていますし、ティアのシーンではヒラクの目線は入りません(もっとも、ルーがこのように言っている以上はその夜の営みは絶倫なのでしょうが)。そしてその後の性に関する話とすれば、ヒロインたちの前で全裸になるのを恥ずかしがるシーン(お風呂、脱衣麻雀)ばかりで、更にはハイエルフたちの強烈なセックスアピールに対してドン引きしている様子が繰り返しギャグ的に登場します。
というわけで、性欲の持ち主をヒラクからヒロインたちに変えて考えてみてみましょう。
ルーはアニメ版において唯一肉体関係が名言されているヒロインですが、彼女自身が積極的にヒラクと肉体関係を持っているという描写はありません。むしろ、第2話でアニオリのプロポーズシーンが挿入されたことで、強烈な出会いからの熱烈なアプローチで無事陥落したヒロインという印象が強くなっています。
ティア、アン、ラスティ、フラウレムといったヒロインたちはそもそもヒラクと肉体関係を持つことを望んでいるのかどうかもよくわからないくらいに描写がありません。ヤーはヒラクに恋心を抱いていることは明示されていますが、性欲じゃないという方向でネタ作りがされています。セナやグルーワルドは移住してくるときに女を差し出す覚悟があります、という話はしていましたが、本人の性欲がどうかというところは曖昧にされていたと思います。
特殊なのがハイエルフの面々(代表であるリア以外)で、彼女たちは個々にヒロインであるというよりは集団でまとめられがちな、いわば「モブヒロイン」に近く、彼女たちの性欲はむしろギャグとして所々で登場します。ところで話はそれますけど、エロゲ(特に抜きゲ)でネームドヒロインよりもむしろモブヒロインの方がアレなプレイとか特殊な設定とか複数人プレイとかがやりやすいのか、実用性の高いエロシーンになっていることって、ありますよね。ハイエルフたちのエロネタはややそういった印象で運用されているような気がします。
ではなろう版でのヒロインたちの性欲がどうかと言いますと……最初の二人であるルーとティアまではやや別枠扱いされているような印象ですが、それでもやはり全員がハイエルフたちと同様の性欲を持っていることが明確に描かれています。先述のとおり、キャラクターが登場するたびに夜伽に加わるかどうかが明示されるのですが、多くの場合「意外なことに〇〇も夜の相手を望んできた」とか「〇〇も夜の相手に加わった」とか、ヒロイン側の意志であることが添えられています。そして、一定の数を超えたところで夜伽輪番制が敷かれた話が入ることは先述のとおりです。
これは、村にいる女性のほぼ全員に手を出すという性欲魔人っぷりを発揮するヒラクが暴走して無理やり手を出していると言わせないために必要な注釈なのですが……書かれたら書かれたで、そんな誰もかれもが喜んで身体を捧げるわけがないだろとも思ってしまうというものです。なお、輪番制にしたって多すぎるだろというラインを超えたあたりで、第1グループのヒロイン陣と第2グループのヒロイン陣の間に線引きがなされ、後発ヒロインから夜伽相手に加わる者は絞られるようになっています。大奥すぎる。
2-4.なろう版からアニメ版への翻案における性欲のカットが果たした役割
さて、前提の確認が長くなってしまったのですが、ここからが本項の本題になります。ここまで示してきたとおり、アニメ版ではなろう版においてヒロインたちとヒラクの関わり合いにおいて重要な位置を占めていた性欲にまつわる話がバッサリとカットされています。そうすると当然各ヒロインとの描写の総量が減ってしまうので、代わりに何かを入れなければいけません。
このために追加(あるいは増量)されている要素が何かと言いますと、次の3つであると思います。
①のんびりほどほど賑やかに、楽しくドタバタ和やかな異世界農業ライフ(増量)
②ミニキャラにデフォルメして繰り広げられるリズム感のあるやり取り(追加)
③異世界でできた家族とその相似拡大形としての村(増量)
順に考えていきましょう。まずは①です。これは1.でも示したとおり、アニメのあらすじにおいて第1期第2期を通して採用されている、いわばアニメ版の核となる部分です。作品タイトルそのまんまとなわけですが、実のところこれって思ったよりも全然なろう版では印象に残っていないんですよね。
もちろんなろう版でも農業に関するちょっとした描写がないわけではないのですが、全体的に「〇〇を植えてみた、収穫した、こう使った」というのがコンパクトに示されて、最後の「こう使った」からの展開描写に分量が割かれることが多いです。一般的なイメージとして農業というのは地味だと思われていて、特に文字だけでその描写をするのは結構な技術が必要なのでしょう。ヒラクはそうした日常的な農作業の地味な部分を短縮・省略できる力として万能農具を持っているので、そのあたりはアニメでも都合よくカットされていると思います。ざっくり分けても耕地、施肥、播種、育苗くらいには全然違う作業になるはずのものを、すべて万能農具を鍬にして地面を耕す動きで表現できてしまうのは、暴力的農業と言わざるを得ません。一番地味ながらも大変な雑草抜きは人海戦術でやっているということで省略し、虫取りや病気対策は万能農具の水やりでできることになっています。えーーずるいな、万能農具欲しすぎる。
これによって実現されるのが、広大な畑が耕されていく描写(早回し)→収穫という映像的なトロに絞った農業描写になるというわけです。なろう版では簡単に流されていた収穫パートに、アニメ版ではそれなりに描写の尺が割かれています。
これの例外として映像映えするものとしてアニオリで加えられているのが、アニメ版第4話の田植え描写です。やっぱり日本人なら米作りだけは絵面に魅力を感じますよね?と言わんばかりの丁寧な描写で笑ってしまいますね。なろう版ではなんか気付いたら米もあるって言われるようになったし、なんならため池を作って最初に水田で栽培したのはワサビなのに……。でもよくよく考えてみると、万能農具で耕していれば勝手に芽が出てくるのに、田植え用に育苗箱みたいなサイズで育てられたものが出てくるのってやや変かもしれません。
あと分かりやすいのは収穫前の姿についての描写でしょうか。第1期でもごまやカレーのスパイス類が成っている姿ってこうなんだ~という話がありましたし、第2期でもカシューナッツで同じネタがありました。ちなみに先日参加したフレンチを食べながら第2期最終話を先行視聴する会で行われた名シーン投票で、僕はカシューナッツのシーンに投票しました。農業アニメに真剣だから(?)。
続いて②についてです。①もそうなのですが、②は特にアニメというメディアの強みを活かした描写の追加であり、アニメの喜びが詰まっていると言っても過言ではありません。技術でこなせないことはないのでしょうが、やはり文字という媒体だと会話のリズム感で面白さを出すということは難しいと思います。一方、アニメでは音声が付いているので、この強みを存分に活用しつつ、ここはコメディカルなやり取りですよ~ということをミニキャラという本編とは全く異なるデザインで視覚的にも補強できるのがいいところです。
ヒラク「何か忘れている気がする……何だろう。ナンだ!」
リア「なんです!?」
ヒラク「ナンなんだよ!」
リア「そうなんですか!?」
(第5話から抜粋)
一番わかりやすいのがこのシーンでしょう。ちなみにカレー作りのエピソードはなろう版だと第65話にあるのですが、ナンのナの字も出てきません。なろう版だと数行であっさり終わるシーンを、アニメだと1話分のサブタイトルにするほどに拡張しています。
第2期に入ってからもこうした使い方は健在で、例えば第13話で新しい村を作るためにヒラクが斧を振り回しまくって木を伐採するシーン、「チャーシューメーン! ワンタンメーン! メーンメーンメメメーン!」と音で楽しませるネタを入れていますし、第14話で馬とケンタウロス族の話をするときには、アドリブだったのかな~と思うようなコミカルなやり取りを天丼させていたり、アニメだからできる遊び心が多くみられました。
最後に、これが今まで2-1.から2-3.にかけて説明してきた事項と繋がるのですが、アニメ版(特に第1期)を一つの作品としてまとめるための本筋自体がなろう版では存在しなかったところに作られているという点で、③というのはかなり面白いところだと思っています。
なろう版において、先述のとおりヒラクはほぼすべてのヒロインに手を出しているうえ、一切の躊躇なく夜伽輪番制を回し続けているので、そりゃそうだろという感じなのですがアニメ版からは想像できないペースでヒロインたちが妊娠・出産して、村には子供がわんさかいる状態になります。アニメ版第24話までで、なろう版だと第211話まで(もちろんカットされている話はたくさんある)に該当するのですが、そこまででルーとの1人目、ティアとの2人目、ハイエルフ3人とアンとの3人目~6人目、ハクレンとの7人目と子供が産まれていたりします。Wikipediaの記載を信じるならば、そこからも更に産まれまくっていて、最早作中では名前が出てこない子供もいるっぽいです。
そんなわけで、ヒラクの子作りについて、なろう版とアニメ版を比較する形で年表を作成してみました。黒字は肉体関係のはじまりを、赤矢印の始点は妊娠発覚、矢印の先で出産という意味です。

(図2.子作り年表)
※画像の一部は©内藤騎之助/「異世界のんびり農家2」制作委員会
なろう版の中ではもちろんヒラクはいずれの子供たちに対しても父親としての目を等しく向けているように描かれてはいるのですが、僕が第211話まで読んだ印象として、正直子供のことにはそんなに興味がないのかなと思う程度の描写しかないです。ここは明確に僕がなろう版の良くない点だと思っているので、批判的に受け取っているのかもしれませんが……。僕はハーレムラブコメが大好きなので、もちろん自分のダブルスタンダードは重々理解しているのですが、やっぱりいくら何でも子供がトロフィーでしかなさすぎるというか、もっと言うと母親になった途端にヒロインとしての描かれ方が減るように感じるところとかも、嫌だなあと思ったのは偽らざる事実です。
そんな引っかかりを生みかねない部分をぼかす効果が性欲カットにあることは間違いないでしょう。アニメ第1期の〆となるエピソードにルーの第1子(アルフレート)誕生を持ってきて、村長かつ父親になったという話でまとめたのは、実のところ続編の結論まで見据えての動きだったのではないか……と感じます。ちなみにアニメ版第1期に該当するなろう版の範囲だと、ティアの第1子の出産まで含まれています。
ですので、第2期の制作決定が報されたとき、僕は非常によろこびつつも、内心「子供周りの話はどう処理するつもりなんだ……」とヒヤヒヤしていました。第1期では大胆なカットでうまいこと1クールの物語にまとめていましたが、その続きからもう1クールとなると、正直もうまったく別の世界線として再構築する以外の選択肢はありません。
そしてやってきた第2期では、本当にアルフレート以外の子供の存在がすべてカットされていました。更に第1期以上になろう版からのエピソードの取捨選択が多くなり、イベントの順番入替もより大規模になっていました。このパズルを作り上げた再構築の技術に感動して、今回の記事を書く決意をしたわけです。この再構築については、次項で書いていきたいと思います。
先のなろう版への不満とも繋がってくるのですが、全体的に古い男女観・家族観からか、ヒラクは村長としての仕事(農業、外征、社交、内政)には様々手を出しますが、子育てについては全然自分の意見を通そうとしません。時々出てくるとしても、「仕事の合間に子供用の●●を作った」、「子育てに一枚噛もうとしたら母親とメイドたちから追い出されちゃった」という描写ばかりです。その傾向はアニメ版でも正直ごまかしきれていなかったと思うのですが、それでも、ルーを村長夫人(国母)、アルフレートを村で唯一の赤子(村の宝)として、3人家族の相似形を拡大させた先にあるみんなの村(村の仲間は家族だから!)で子育てをやっていくんだという形にして第2期を〆たのは、かなり頑張ってたどり着いた2度目のゴールなんだろうなと思います。
以上のように、性欲関連描写のカットと①~③の増量・追加によって、アニメは2度に渡って1つの物語としてまとまりのいい形に再構築されたのです。
さて、本項ではなろう版からアニメ版への翻案における主に再構築の思想とその結果について考えました。先述していたとおり、次項では実際の再構築の手法に目を向けてみたいと思います。
3.なろう版とアニメ版の違い(2) エピソードの並び替えについて
前項では文章でばかり説明してしまい、図としては子作りに関連する事項だけの年表をお見せしましたが、そもそもなろう版・アニメ版におけるエピソードの順番と経過した時間について、どれだけ大胆に再構築されているかをまずは皆さんに見ていただくべきだったのかもしれません。
3-1.アニメ版第1期の範囲

(図3.作中エピソード比較年表 第1期分)
※画像の一部は©内藤騎之助/「異世界のんびり農家2」制作委員会
まずは第1期の範囲から見ていきましょう。図3.を見ていただければと思うのですが、序盤は流石になろう版とほぼ変わりのないエピソード順で、時間が流れています。再構築が始まるのが、アニメ版でいうと第5話・第6話からになります。スパイス畑やカレーづくり、冬の娯楽描写(なろう版では麻雀もボウリングもかなり先のエピソードです)にぶどう踏み、極めつけは村の名前が決まった後の宴会と、畳みかけるようにアニオリの描写がたくさん投入されます。それらのエピソードを入れる代わりに後ろに飛ばされたのが、ルーの妊娠発覚エピソードでした。
先にアニメ版を視聴しているとびっくりするのですが、ルーがアルフレートを出産するのって、なろう版ではラスティが住人になるよりも先の出来事なんですよね。村人歴が自分よりも長く、誕生の瞬間を一緒に見守っていない子供に対して、「みんなで育てる子供」と思えるかと言われると結構怪しいんじゃないかと思っており、そういう意味でも住民の第1グループ(大樹の村に住む住民たち)が揃ってからアルフレートが産まれることになるのは、第2期の結論に到達するために必要な再構築であったように思います。
更に前項でも触れましたが、なろう版ではシャシャートの街との交易開始後にティアの妊娠が発覚し、ハクレン・フラウレムの加入からユーリ王姫が起こす騒動のあたりが妊娠期間中で、始祖さんが来る前に出産しています。この流れを丸っとカットすることで、まず作中時間を圧縮しています。こうしてできた尺で、アニメ版第12話はなろう版でいうと1.5話分くらいしか元になる分量がないものをアニメ1話分に膨らませています。
3-2.アニメ版第2期の範囲

(図4.作中エピソード比較年表 第2期分)
※画像の一部は©内藤騎之助/「異世界のんびり農家2」制作委員会
続いて第2期の範囲です。第1期の範囲ではルーとティアの妊娠出産絡みのエピソードをカットしたり後ろ倒ししたりしたくらいでしたが、更に再構築のために本格的にエピソードの取捨選択と順番入れ替えが行われていることがわかるかと思います。
エピソードの流れとしては、
- アニメ版:①移住者たくさん→②武闘会→③来客ラッシュ→④温泉調査→⑤滑走大会→⑥一ノ村への移住者→⑦太陽城
- なろう版:②武闘会→①移住者たくさん→ヒロイン4人妊娠→③来客ラッシュ→⑤滑走大会→第二回武闘会→ヒロイン4人出産→ハウリン村のトラブル→④温泉調査→ハクレン妊娠→⑥一ノ村への移住者→細々とした催事を連発する時期→ハクレン出産→第三回武闘会→⑦太陽城
となっています。カットされた各エピソードのうち、赤字になっているのは第1期同様にヒロインの妊娠出産関係がごっそりなかったことにされているものですね。これは前項でも触れているので割愛します。緑字にしているのはそんなに頻繁に開催せんでいいやろうと思わずにはいられなかった武闘会が当然の如くカットされているものです。絵面的に1回やれば十分ですし、アニメ版は作品の主軸を楽しい異世界農業ライフに置いていますから、そんなに何度もバトルしたいわけでもないでしょう。カットされなかったエピソードとしても、④温泉調査と⑦太陽城は言わば外征エピソードなので、大樹の村の強大な武力が存分に振るわれるエピソードですし、加えて複数回の武闘会までやったら一生戦っているだけの第2期になっていたでしょうね。
興味深いなと思うのが、青字にしたエピソード群です。これは第1期の時には見られなかったカットの仕方で、なんらかのイベントが発生するエピソードを丸っと落としてしまっているものは、第1期ではなく、第2期になってからみられるようになっています。これらのエピソードの特徴としては……存在自体がカットされた新しい住人が関わっています。
ハウリン村のトラブルをきっかけに、獣人の一家(セナの兄の家族)が大樹の村に移住してくるエピソードがまずカットされました。作中での時間経過に伴うキャラクターの見た目の変化はかなり乏しい本作ですが(健康すぎるヒラクと長命種ばかりなので)、獣人族代表かつヒロインでもあるセナだけは時間経過に伴う成長が意識されているような気がします。特に表情ですかね。初登場時と第2期でヒロインの一員として堂々としている時とでは、表情が明らかに大人びるようになったなと感じました。そんなセナが獣人族の代表であることを再確認したりする封建的なエピソードでもあるのですが……まあちょっとエグみがあるのでカットでしょうか。ちなみに、細々とした催事連発期間中にしれっとガルフ一家も移住してきます。
細々とした催事連発期間というのは本当にそのとおりで、クイズ大会、山崩し大会、花火大会、プール開設、相撲大会とまあ二度と開催されなさそうなイベントが目白押しの期間です。村の人口が爆増し、更に複数の村に分散するようになったことを踏まえ、全員集合させるにはとにかくイベントを開催するしかなくなるのはわかりますが……先にあまり繋がっていかなさそうなエピソードばかりですからね。この各エピソードの合間でもちょくちょく住人が増えていて、③来客ラッシュで登場した天使族のキアービットたちもしれっとここで移住してきますし、①で移住してきたケンタウロス族の増員、先述のガルフ一家、巨人族数名が移住してきています。
あえて説明を後回しにしていたのですが、実はドラゴン族も1人増えています。詳細は省きますが、これはハクレンが生んだ息子の嫁候補という形で登場するので、そもそもハクレンが妊娠出産をしなくなったために存在自体が影も形もなくなったものと思われます。彼女とウルザがライバルっぽい雰囲気を出すエピソードなんかもあったりしたのですが……。
更に言うと、大きな流れとしてはカットされなかった各エピソードも全体的にかなりスリムになっています。②武闘会はアニメ版だと一般の部と戦士の部の二部制でしたが、なろう版だと加えて騎士の部というのがあり、しかも各対戦についてそれぞれ記載があります。正直長くてだれていたので、すばらしい差配だったと思います。
④の温泉調査も、なろう版ではもっと細々と目線を変えたり何回かにわけて横穴竪穴の探索がなされたりしていたものを1回にまとめています。そのための突貫行軍をそのままドキュメンタリー風のコメディにしている手腕には脱帽してしまいますね。くわえて、なろう版では死霊王(ウルザ)に加えて死霊騎士というキャラクターも登場し、最終的に温泉施設の管理人に落ち着くのですが、まるっと存在がなかったことになっています。
⑤の滑走大会は正直カットされてもおかしくないレベルの小粒イベントというか、実際にカットされた小粒イベント郡の走りなのですが……水着回という極めて重大な役割があったため、採用されたのでしょう。
3-3.アニメ版第3期は可能なのか
本項でこれまで説明してきたように、第1期で定められた方針に沿って物語全体の構成は大きく変更され、第2期では更に決定的なまでにアニメに登場するキャラクターの取捨選択がなされています。この複雑極まりないパズルを経て、もはやなろう版とアニメ版では合流不可能とも思えるほどに展開に差異が生じています。
僕個人の感情としては、こんなにも楽しませてもらっているこの異世界のんびり農家という作品の続きをアニメでまた観たいと思ってやまず、そのために微力ながらも円盤をはじめとしたグッズの購入やイベントへの参加、そしてこのブログ記事のような応援活動も行っているわけですが……正直流石にこれ以上は無理なんじゃないかとも思ってしまいます。
至極当たり前なのですが、アニメ版で登場していないキャラクター、村に移住していないキャラクターが絡んだエピソードは今後すべて採用するにしても改変が必要になります。移住者はまあ何らかの説明を入れて後から移住させることもできますが、子供の方はそうもいきません。特になんの結論が出せるわけでもないのですが、アニメ制作陣の皆さん、本当に頑張ってなんとか第3期をお願いしますと無責任に言うだけ言ってここは終わりましょう。
4.大樹の村修学旅行の夜
真面目な話は大体終わったので、修学旅行の夜に突入してもいいですか? いいよ。ありがとう。やった~~~。

(図5.第2期公式HPキャラクター紹介ページ)
※画像は©内藤騎之助/「異世界のんびり農家2」制作委員会
スマブラかよ。
これでも全員ではなくて、この各アイコンの後ろに同一種族がぞろぞろ並んでいたりするのがおそろしいところです。
4-1.あうふすがいちばん好きなキャラクター
僕がいちばん好きなのはもちろん……

ザブトンですわな。 ※画像は©内藤騎之助/「異世界のんびり農家」制作委員会
ちなみに、ザブトンに出会った人間のほぼ全員が気絶する定番ネタには設定として、デーモンスパイダーには初エンカウント時に昏倒を入れる特殊スキルがあるということになっています。全然そんなこと説明せずに昏倒させ続けるの、覚悟が決まりすぎているでしょう……。作中でも格アリ枠に据えられていますし、愛嬌もあるし、大樹の村の実質的名付け親でもあるしでかなり重要なキャラクターなのは間違いありません。
ごめんなさい、キャラクターとしていちばん好きなのはもちろんザブトンなのですが、修学旅行の夜でそういうことを言うのってマジで不誠実でしたね。今度こそ真実の弱点晒しをします。
4-2.ドラゴン族ってマジで優遇されてて軟弱でガチ萌えある

※画像は©内藤騎之助/「異世界のんびり農家」制作委員会
オイラっちハクレンなんやけど~~~。
はい。マジで軟弱で申し訳ないと思うんですけど、ハクレンです。
本当に癪なんですよね、ハクレンに負けるのって。でも僕って、生まれた時から、朗らかでいつも笑っているけど賢くて頭の中では色々考えているタイプの美少女のことがいちばん好きなんで。決してCV伊藤かな恵に敗北したわけではないです。真実です。
多少真面目な話もしておきますと、ハクレンってまず間違いなく作者の寵愛を受けているキャラだと思います。これはしょうがなくて、まず大樹の村で村長の槍を除けば最大戦力であり、とにかく動かすと大きな事件を起こしてくれますから、単純に便利なんでしょう。あと作者は絶対に妹と姉だったら姉の方が好きなタイプのオタクだと思います。その証拠に、ドラゴン族の女は番いになる男が産まれることを察知するとその誕生に同席する習性があるそうです。なんだよその姉さん女房確定システム内蔵種族はよ……! これで姉属性持ちじゃないわけがないだろ。
そんなわけで、登場して即夜伽メンバーに加わっていますし、アニメ版第2期範囲のなろう版では、ルーとティアが幼子の母親をやり、アンとハイエルフたちが妊娠・出産するということで全体的にイベントごとで動かしにくくなっている中、明らかにメインヒロインの座が回ってきていたように思います。
武闘会での優遇、ドマイムとクォンのドラゴン夫婦の話でドラゴンの繁殖についての説明、そして何より温泉調査隊編でのちょっとしおらしい部分(本当にしおらしかったか?とは思いますが)とモリモリバフが入っていき、夜伽メンバー入りの順番を何名か飛ばして妊娠・出産にまで至りましたからね。いちばん好きって言っていたはずなのに若干引いてしまったくらいでした。
ちなみに、ラスティもマジでハチャメチャに萌えがあってヤバいです。危うく2敗しかけるところでしたが、村長ではないのでギリ耐えました。なろう版ではラスティ登場時にヒラクが彼女のことを「元いた世界だったら生徒会長タイプっぽい」と評しているんですが、マジでその学校通いて~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~私立萌え萌え学園だろ。しかもなろう版曰くラスティ(とフラウレム)は村にやってきてからしばらくの間は夜伽メンバーに加わるのを我慢していたけど、周囲の悪い女どもに背中を押されまくっているうちに流されてしまって村長と肉体関係を持つようになったらしいです、そんなん…………いちばんエロじゃん。
おわりに
そんなわけで今回は、『異世界のんびり農家』のアニメ2クール分の話とそれに対応する原作の話を通じて、1クールアニメという媒体に合わせて物語を大胆に再構築している例を分析しました。いわゆる「原作どおり」の是非には様々な主張があり、この話題だけでも何十年どころか何百年の歴史すらあるかと思いますが、僕はアニメ版異世界のんびり農家シリーズが大好きなので、今回このような記事を書くに至った次第です。
一部でも全部でも、この記事を読んでくださった方に楽しんでいただけることを願って〆にしたいと思います。